お客様の声・事例紹介(大橋 元治 様)
■大橋 元治 様
■石川 順司 様
■深谷 格 様
■金山 雄吾 様
■岡田 宏和 様
■山本 善之 様
<定期借地権を核とした相続対策>
■養子縁組で相続飛ばし
千葉県千葉市にお住まいの大橋さんの事例をご紹介しましょう。大橋さんの家は代々専業農家を営んでこられましたが、元治さんが公務員となられたため、典型的な三ちゃん農業を最近までは営んでおられました。
とは言え、お祖父さんの代から、すでに相続対策は進めておられました。お祖父さんと元治さん及び元治さんの奥さんが養子縁組をすることにより、昭和62年に発生した相続時にはお父さんと元治さんと奥さんの3人が相続されることで、次の相続発生時の負担を軽減する対策が採られたのです。
同時に、次の相続対策としてアパート2棟を建てて、それ以来、20年近くも経営されています。
しかしその時点では、相続対策もそこに留まっていたのも事実です。
その大橋さんが土地活用を真剣に考え始めたのは、平成5年のこと。農地の宅地並み課税が迫ってきた時点のことです。このままでは、農地に莫大な固定資産税がかかってしまいます。
「公務員としての給料が全部、固定資産税で持っていかれてしまう。そんな危機感がありました」と大橋さんは、今では笑って話してくれますが、当時は本当に切羽詰った危機感をお持ちだったのです。
しかも、売るにも売れません。売却すると当時は税金で39%も取られてしったからです。もちろん、古い農村ですから売却すると周りからいろいろと言われてしまう、という問題もあります。
■アパート建築で相続税の節税
私が大橋さんと初めてお会いしたのは、そんな時でした。
大橋さんの奥さんが、ある銀行が主催した「宅地並み課税対策」のセミナーに参加され、そこに講師として招かれていたのが私だったからです。
特に問題となったのは約8,000坪の山林です。その土地が区画整理され、換地後には1区画65坪の土地が55区画となって返ってくることが分かっていました。そうすると、莫大な固定資産税がかかります。そのままでは評価額も莫大になり、相続時には売却しなければならなくなります。
「先祖から伝えられたものだから売らないで残したい」。
そういう思いが大橋さんには強かったのです。
そこで私が、この土地をどう活用すれば固定資産税を軽減して安定した収益があげられるのか、そして次の相続時の相続税を節減できるのか、その対策を提案させてもらうことになりました。
まず最初に、お父さんが亡くなった場合の相続税の試算をしました。大橋さんの奥さんはお祖父さんと養子縁組をしているので、相続関係図で表すと兄弟姉妹であるものの、実の親子なので相続を受けることができます。大橋さんの奥さんには妹がいますので、相続人は2人です。
父の持分だけを試算すると、なんと10億円の評価となりました。配偶者が無く子供2人への相続なので、相続税はおおよそ3億7,000万円となります。ほとんどの財産が、父と大橋さんそして大橋さんの奥さんと三分の一ずつ共有で持っている状態でした。
そこでまずは、共有物の分割を行いました。共有物にしたままだと所有関係が複雑になり、将来の売却や活用も全員の合意が必要となって、最悪の場合には塩漬けの土地になってしまう可能性があったからです。
そして節税対策として、最初に提案したのは5棟のアパートを建てることでした。住宅地としては閑静な環境ですが、駅から遠いためファミリー向けの仕様とし、住宅金融公庫の賃貸向け融資を活用しました。今から思うと30年間の低利の固定金利は恵まれた条件でした。
この辺りもバブル時には多くのアパートが建ち、競争が激しくなっていました。差別化として建物の外観を一戸建て風にし、外構にも力を入れることによって入居者の支持を得られる工夫をしています。
賃貸管理は大手の賃貸管理会社に依頼しました。公庫を活用しているので、礼金や更新料収入が得られないため、賃貸管理会社は家賃保証に難色を示しましたが、15%の管理手数料を支払うことによって一括借り上げをしてもらうことができました。一括借り上げにこだわったのは手間や空室の心配を考えてのことです。
2億円の投資に対し、土地の評価減が18%、建物の評価減が約60%となるので、金額にすると丁度投資額と同じ2億円程度の評価減となりました。相続税評価が8億円に下がったので、納税額は2億7千万円となりました。約1億円の節税です。アパートが半額で建てられたのと同じ効果と言えるでしょう。利回りは10%だったので、節税の効果を含めると利回りが20%となります。
このことを私は税効果利回りと呼んでいます。節税効果の高い大地主さんがアパート経営を行うとなると、このようなメリットが享受できるのです。
■大型定期借地権に挑戦
しかし、それはほんの第一歩でしかありません。55区画の内の8区画にしかすぎないからです。
そこで次に提案したのが、当時ようやく施行されたばかりの定期借地権の活用でした。まだ事例はほとんどありません。その意味では、「こうなりますよ」と成功例を示すことができないので、頭で理解してもらうしかなかったのです。
保証金が入るメリット、固定資産税が軽減できるメリット、必要なときには底地を売却できるメリットを説明しました。
保証金は返却しなければなりませんが、それでアパートのローンを返済すれば、保証金でアパートを建てたことになります。アパートの賃料収入で十分に返済することが可能です。しかも、今はデフレですが、50年先ですから相当なインフレが進んでいると考えられます。
さらに、いざという時には貸している人に底地も売却できますし、あるいは契約が解除された場合には更地にして売却も可能です。
このような説明をしたわけです。
■定期借地権で得た保証金で無借金経営
この点について、「以前は、土地は貸したら返ってこない。だから貸してはダメだというのが常識でした。でも定期借地権なら絶対に安心だと、説明を聞いてすっきり納得できたんです」と、当時を振り返って大橋さんは語ってくれました。
抽象的な法文や制度を拠所にして仕事をされる公務員という仕事柄なのでしょうか、この点で、きわめてすっきりと納得してもらえたのが今でも印象に残っています。
定期借地の概要は、1区画65坪で45区画。1区画の保証金は平均800万円で地代は月
額2万9,000円でした。土地付分譲住宅だと当時はその周辺で6,000万円前後しましたが、同じ土地で定期借地権にすると3,500万円〜3,600万円になります。借主にとってみれば、分譲の6割程度の金額で自分の家に50年間住めることになります。
3期に分けて募集したのですが、申込で5倍位、実質で3倍位の応募があり、すべての区画が順調に決まりました。
保証金の総額は約3億7,000万円になります。この保証金は50年後に借主に返還しなければなりませんが、それまでは自由に運用することができます。
利回り2%で運用できれば、50年間で保証金分に相当します。それを超えた分が、収益となるわけです。
金融商品などでの運用ももちろん可能ですが、大橋さんの場合にはアパート建築時の借入金返済に充てることにしました。それが2億円程度ですから、まだ余りがあります。
その余った資金で、別の場所に貸し店舗も作られたのです。
また、年間の地代は土地価格の1%が相場です。大橋さんの場合には2万9000円が45区画ですから1,500万円前後が年間の地代収入となります。
さて相続対策から見た定期借地権は、どのような効果があるのでしょう。定期借地権の設定により、土地の評価が40%弱軽減されました。保証金には現在価値を差し引いた分が課税の対象となるので約20%の増税となります。したがって差し引き20%の評価減です。アパートの貸家建付け地による評価減と同じような効果といえます。大きな借金をすることなく、これだけの節税メリットがあるのなら納得の行く線と言えるでしょう。とりわけ郊外の広大な敷地には借入リスクがない対策のため、規模がいくらでも大きくできるという点も、忘れられがちですが大きなメリットです。
■土地活用も経営感覚が必要
大橋さんの活用状況をまとめると、次のようになります。
区画整理地では定期借地45区画、アパート4棟、駐車場1区画分、区画整理地以外で都市計画道路予定地に駐車場(約50台分)、アパートが3棟、貸し店舗が1軒という内訳です。
これらから上がる収益を合計すると、年間ウン千万円。無借金経営なので、大半は手元に残ります。相当な収益だと言えるでしょう。
普通の土地として置いていただけでは、固定資産税だけが膨大にかかっていくところを、定期借地権とすることで地代収入を得ることができるようになりました。また保証金もアパートや貸し店舗の建築資金に充てることで、収益を生む資産への組み替え(リストラ)が進みました。
土地活用のコンサルタントをしていて、一番大切だと感じることは地主さんが自分で意思決定できるということです。それができなければ、いつまでも何もできないままに経過してしまいます。そのうちにタイミングを逃したり、課税されてしまったりするケースも少なくありません。
大橋さんの場合は、その意思決定をすばやく行えたことが、成功の根拠だと言えるでしょう。
それから、古い倫理観と訣別されたことも大きなポイントです。
日本では、勤労所得や年金所得は高く評価されますが、資産所得については「不労所得」として、あたかも不当な所得であるかのように見る風潮があります。そのような古い倫理観に縛られている限りは、なかなか積極的な土地活用ができませんし、意思決定を行うこともできません。
合理的に考えれば、資産を活用して収益を生む。それは企業経営者が資本を活用して利益を生むのとなんら変わりはないわけです。
そういう発想に立ったことが、意思決定を可能にするベースになったのではないでしょうか。
もう一つ挙げれば、ご自分の価値観に沿った選択をされていることです。いくら収益が上がろうと、自分の価値観に合っていない選択では幸せにはなれません。その点で、ゆとりを持って経営できる範囲で進められておられることも、大橋さんの場合には成功の根拠と言えると思います。
大橋さんの原点は無借金経営です。「金利が経費になるから、借入をした方が有利ですよ」と銀行員の声に耳に貸すことはありません。経費はあくまでも出費、出費を抑えることがキャッシュフローを高めることを理解しています。キャッシュフローを高め、その中から税金を納める方が最終的に手元に残るお金が多くなるのです。
■人生を楽しむ
では、大橋さんの生活はどのように変わったのでしょうか。
大橋さんは、土地活用を開始されてからも平成13年まで公務員の仕事を続けられました。
「いろいろと、仕事上の責任もあったから」。
こう言われる大橋さんが仕事を辞めたのは、「もっと生活を楽しもうと思ったから」だそうです。
以前の収入は、毎月の給料と2棟のアパートからの家賃だけでした。その2棟の賃料もほとんどがローンに消えていきます。それが、今では不動産収入だけで信じられないくらいの金額になっています。活用前とは、家計の状況も大きく変化しました。
「一番嬉しいことは、時間の余裕ができたことと、税金のプレッシャーがなくなったことです」。大橋さんの今の心境は、とてもゆったりとしているようです。
でも普段の生活は以前と変わりません、家を新築されたくらいでしょうか。堅実な生活を続けておられます。ただ、例外は海外旅行。
「特にアメリカ旅行は、仕事を辞めてから毎月のように行っています。レンタカーを借りて、好きなところを見て回るのが楽しいですね。以前は年に1回、5日間程度がせいぜいだったので、夢のような境遇です。将来は、アメリカにも賃貸物件を持って、それから住まいも持って、1年の半分を向こうで暮らせるようになれたらいいですね」。
このように夢を語られる大橋さんですが、実は最近方針を大きく転換しています。無借金経営を続けてきたのですが、ここに来て2億円の借金をし、東京の都心に一棟売りの賃貸マンションを約3億円で購入したのです頭金の1億円は定期借地権の底地の売却と駐車場用地を一部売却することによって捻出しています。なぜ、今ごろ都心の一棟売りマンションを購入したのでしょうか?
大橋さん曰く「このあたりの地価はドンドン下がっています。ピークからすれば1/3ぐらいでしょうか? ところが最近では都心回帰現象が進み需要が都心に移っています。都心は地価が下げ止まっています。今のうちに郊外の土地を処分し、都心に資産を持つことが得策だと考えたわけです。」
確かに路線価は見事に1/3となっています。そのお陰で相続税評価も下がり、相続税の試算額も減少していました。一棟売りマンションの名義はもちろんお父さんにしました。そうすることで、お父さんの相続税評価はゼロにすることができ、これまで進めてきた相続対策の完成を見ることができたのです。
大橋さんは素直な性格で温厚な方です。コンサルタントとして様々なご提案を差し上げましたが、すべてご自身で良く理解されてから、自分の価値観に沿った選択をされています。考えすぎて行動に移せない資産家が多いのですが、大橋さんのクレバーさと行動力が際立っていました。

