プロから学ぶ「不動産投資術」⑳
不動産投資の最もエキサイティングする場面は最終的な価格交渉だ。立場上売主側の代理人になることもあるし、買主側の代理人になることもある。時には双方の仲介をすることもあるが、売主・買主・それぞれの代理人の4名で壮絶な心理戦が繰り広げられる。
高く売りたい売主、低く買いたい買主、なんとか取りまとめたいそれぞれの代理人、立場が違うものの間で、デリケートな言葉のやりとりが行われる。買主のほとんどは、とりあえず「安くなりませんか?」と尋ねる。売主は最初から指値を予測しているので、値引き枠を用意している場合が多く、以外に簡単に値引きに応じる。買主は「言って値引きしてくれれば得だ」ぐらいの、軽い気持ちでの話しが多く、信念を持っての価格交渉ではない。こんな調子で、あっさり取引が成立しているケースが多い。
本来、買主は買主の決めた基準の物件を探し、基準に満たないのであれば、その基準に合うまで価格交渉をするほうが良い。例えば、エリアは東京都内、築年数は15年以内、総額は2億円以内、表面利回り10%以上、実質利回りで8%以上というように基準を作っておくのである。実質利回りが7.5%でそれ以外の条件は満たしているというのであれば、「実質利回り8%以上になれば購入する」と意思表示をするのである。
その希望が通るまで、辛抱して待ち、希望通りの価格になったら即決して購入するのである。待っている間に他者が購入した場合は、「条件が合わなかったので、取引が成立しなかった。次の物件を探そう。」とわりきれば良い。基準や信念が無く、「とりあえず値引き要求をして安く買えればよい」という考えでは、良い買い物はできない。
売主側も同じである。中途半端に値引き枠を設けて、フラフラしているよりも、この価格でしか売れないという価格を決め、「満額でしか売らない」と断言すると良い。買主はその迫力に負け、逆に安心してその価格に納得する。一番良くないのは、人の顔を見て判断することである。仲介者も「顔を見ながら」という方法もあるのだろうが、価格査定時において近隣の取引事例や還元利回りをよく調査し、売主・買主のどちらにも中立的な価格を提示しぶれないという姿勢が大切である。

