プロから学ぶ「不動産投資術⑱
都心には老朽化したペンシルビルの活用で困っているオーナーが多い。大規模オフィースの供給により空室が増加する。空室が増加するのでテナント賃料を値下げる。テナント賃料が下がるので思うような金額で売れない。売れないので、売却金額を下げざるを得ない。これ以上下げるのであれば売りたくない。リフォームすればテナントが付くかと言えば、その保証もない。リフォーム費用が無駄になるだけかも知れない。このままオフィスを続けるという発想では、堂々巡りとなってしまう。
そこで、用途転換を行い、問題解決される事例が増えてきている。
例えば、トランクルームへの転換である。企業ではオフィースワーカーは減少しているにもかかわらず、書類は増える一方である。法律で保管が義務付けられているので処分するわけにはいかない。郊外の倉庫に送るのでは不便なので、近くに保管したいということで、都心でのトランクルームを活用するのである。
入口に鍵さえ付けられれば、セキュリティー設備と間仕切壁を設置することによって簡単にトランクルームに早変わりである。廊下などで有効専有面積は減少するが、空室よりはありがたいということで、コンバージョンされている。初期投資も管理会社が負担し、かつ借り上げてくれることもあるので、気分的には今までどおりオフィースとして貸しているようなものである。
住宅への転用も増えている。都心回帰による住宅不足などにより、オフィース賃料と住宅の賃料が逆転し始めた。オフィースを続けるには、IT対応や設備の取替え、内外装の大規模修繕などのコストが発生する。であればこの際、将来性のない小規模オフィースを住宅へ転用するのである。
しかしながら、実務的には相当苦労している。建築基準法によりガチガチに縛られているため、用途変更の確認申請が許可されないのである。共同住宅であれば、二方向の避難通路の確保や居室への採光の規制などが主な理由である。消防はもっと厳しい、たとえ役所がOKとなっても、消防署がNOという。その結果やむを得ず解体し、更地で売る羽目になっている事例がなんと多いことか。

