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不動産投資の最新事情~資産バブル時代の不動産投資最前線~

不動産投資市場活況呈す。転換期との声も。

2005年は不動産投資市場が拡大した年であった。2006年も引き続き景気回復・地価回復・超低金利・ファンドの隆盛などの要因によって、活況を呈するものと予想される。

一方、現場の最前線ではモノ不足(優良な投資物件)が叫ばれ、モノがあれば無理をしてでも取得しようとする争奪戦が見られ、利回りの低下、物件価格の上昇が顕著となっている。

ミニバブルとの声も囁かれるが、不動産投資市場は需給関係と共に金融や経済の影響を受けるため、転換期を想定した投資行動が必要である。

     不動産投資バブルと言えるのか? 

パブリシティーには「ミニバブル」や「プチバブル」という表現が頻繁に見られるようになり、一般の国民にもバブルが意識されるようになってきた。 

かつてのバブルは土地・株・会員権・絵画などすべての資産が高騰し日本全国に飛び火した。誰もが高すぎると思いつつも「恐らくもっと高く購入する人がいるだろう」と信じ投資(投機)した。

今度のバブルは局部的なもので、高騰しているのは都心や高級住宅地・収益不動産などである。

 これら高騰している不動産の買い手は、不動産私募ファンド(以下ファンド)・不動産投資信託(以下リート)・マンションディベロッパー・優良企業などの法人であり、業界がこぞって商品化に必用な不動産を激しい競争の中で求めている。ここではエンドユーザーが不在なのでいわば「業界バブル」と呼ばれている。

 別の角度から「勝ち組バブル」と言うこともできる。潤沢な資金を手にした投資家・資産家・法人はお金がお金を生んでいく経験を積み、さらなる不動産投資を続けている。

 当社は銀座に所在しているが、身近に不動産バブルを実感することができる。銀ブラ」すればいたるところでビルやマンションの建築中の現場が見られる。テナントの明け渡し中のビルや、ペンシルビルをまとめ大型のビルに再開発する計画が目白押しで「地上げ」が復活している。

 中には銀座中央通りで坪12千万円の高値が付けられたとの報告もある。銀座中央通の路線価は坪2千万円~坪5千万円であるので、路線価の数倍での取引が当たり前となり、2000年当時の路線価の二割増しでの取引からすると地価は数倍になっている。

 海外の高級ブランドの進出が続く銀座の一等地では賃料が坪10万円中は当たり前で中には坪30万円にもなったことから、収益から逆算する収益還元価格で見れば合理性のある価格だとも言われている。

それでも銀座でのキャップレート(純収益を投資価格で除した割合)が3%台となっている現状からすればやや理論値を越した価格を形成している。不動産投資のキャップレートは不動産固有のリスクを考慮に入れ、10年国債の利回り(最近では1.5%前後で推移)にリスクプレミアム3%程度を加え、現状であれば4.5%のキャップレートが求められるところだ。

加熱している不動産投資市場ではあるものの、「利回りによるチェックが必ずあるので、バブルではなく活性化状態である」という意見が不動産投資プレイヤーの大勢を占める。

加熱により一時的には理論値より低い利回りで取引されることがあっても、行き過ぎればより戻すことになるので「以前のバブルのように弾ける」ということではなく、景気循環のように調整局面を迎えるという理解が正しいだろう。

     加熱する一般投資家

いま富裕層だけではなく、サラリーマンの不動産投資が盛んである。ロバート・キヨサキ氏による「金持ち父さん貧乏父さん」が出版された2000年以降、多くのサラリーマンが「にわか投資家」を目指すこととなった。

サラリーマンに副業を認める会社はほとんどないが、アパートなどの賃貸経営は幸い副業と見なされない。給料の補填や年金目的で投資する中高年世代や一獲千金の夢をいだく若年世代など幅広い層の不動産投資家が生まれた。

 ヤフーで「不動産投資」というキーワードで検索すると、1540万件がヒットし、サイト登録されているものが300件ある。3年前までは投資用不動産の検索サイトは野村不動産のノムコムプロを除くと皆無であったが、今では数々の投資用不動産検索サイトが存在し、一般投資家が比較的簡単に物件を求められるようになった。

 資産家や富裕層の間では、バブル期に流行った不動産投資による相続対策が復活している。バブル期には金利8%・表面利回り3%という最初から赤字を垂れ流す物件を、将来の値上がり期待のみで投資ししていた。ところが今は金利3%・表面利回り8%のキャッシュフローが回る範囲での投資なので、以前のバブル期のような収益の裏づけのない投資ではない。

 貸家建て付け地や小規模宅地による土地の評価減、並びに、固定資産評価と時価の差および借家権の発生による建物の評価減によって、都心ではおおよそ60%の評価減となる。相続対策でよく使われる土地の有効活用では、換金性の問題、分割の問題、納税の問題などの弊害もある。ところが、不動産投資の場合は資産が増えるので、相続人間の分割協議がしやすい上、売却しやすいので納税や換金などに都合が良いといえる。

 なお投資利回りに節税効果を加えると利回りが上乗せされ、「税効果利回り」を発生させ、資産家は副次的メリットが教授できる。

 一般投資家の場合、物件の選定基準を持つことなく、数値的な裏づけがないまま「住んでいる家に近いから」・「立地がいいから」・「顔が良いから」などの理由で購入してしまう。

 少なくとも売上を基準とした表面利回りで判断するのではなく、空室控除、賃貸管理費、建物維持管理費、修繕費、固定資産税、保険などを加味し、ネットの利回りで判断しなくてはならない。ところが残念ながらほとんどの不動産業者の資料は売上を基準とした表面利回りのみを表示し、ネット利回りは「お客さん自ら計算してください」という姿勢である。

 本来なら、さらに大規模修繕費用を資本的支出として予算取りするか、簡易的に減価償却分を利益から控除するなど、実態に即した収支計画のもとに判断して購入しなくてはならない。収支シミュレーションは将来起こりうる家賃の下落をも視野に入れるなど辛目に計算し、それでも成り立つ場合のみ投資しよう。

     拡大する不動産ファンド&リート

 日本の地主が変わりつつある。特別目的会社(SPC=資産を流動化もしくは証券化させるために設立される法人)がその主役となりつつある。

 国土交通省「不動産の証券化実態調査」によると、「平成16年度中に証券化された不動産資産額は約7.5兆円で、平成15年度と比べると約1.9倍と大きく伸びている。平成16年度末までの単純累計は、約20兆円となっている。」と報告されている。

 株式会社住信基礎研究所の「不動産プライベートファンドに関する実態調査2005年」によると、2005年の不動産プライベートファンドの市場規模を4.4兆円と推計している。リートが3.4兆円なので1億円ほど上回っている。2003年が1.0兆円、2004年が2.2兆円だったので毎年倍増を続けていることになる。

 実際ファンドをアレンジメントする会社の現場では、アクイジション(物件取得)担当者を大幅に増員しているうえ、物件取得金額の目標を前年度の倍増にするなど、アレンジメント会社の鼻息は荒い。

 物件不足だと言われる理由は、不良債権処理が峠を越えたからというより、むしろファンドの数と取得額の増加であり、需要の増大がもたらしたものである。

 稼働中のファンドの数は300本を超えたと言われ、3億円程度の小さなものからダヴィンチ・アドバイザーズのように1兆円のファンドを運用する会社まで現れている。

 3億円のミニファンドのような場合、ノンリコースレンダーから2.7億円調達し、3千万円が投資家の出資ということも可能となり、随分お手軽なものになった。

 ファンドはリートと比べ流動性に劣るとされているが、不動産の資産価値に対するノンリコースレンダーからの借入比率がおよそ70%であり、50%前後が多いリートと比較するとハイ・レバレッジとなっているので、投資利回りが高くなる傾向がある。

 物件取得競争は激化の一途であるがマンションディベロッパーとの競争も見逃せない。最近では分譲用地を取得するマンションディベロッパーより投資用不動産として仕入れるファンドのほうが高値で土地を取得する傾向にあるという。また、マンションディベロッパーが将来の分譲用地確保のために一旦収益不動産を購入し、しばらくの間は賃貸収入を得、老朽化した段階で分譲マンションに建て替える動きもある。

     金融に警戒心も

ノンリコースリンダーの貸し出し競争も激化している。当初外資が始めたノンリコースローンに対して国内金融機関は様子見であったが、契約書や手続きの標準化がされると多くの国内金融機関でも取り組みを始めた。

とりわけ運用先に苦慮する地銀においてはリートへの出資を行い、国債に変わる有力な運用先となっていたが、自らノンリコースレンダーとし融資をする立場にもなった。

貸出金利が2年前は3%前後だったのが、今では2%前後と劇的に低下している。同じ時期にファンドのキャップレートが6.5%前後から5.5%前後に低下しているので、金利の低下分が連動してキャップレートを下げていることになる。キャップレートの低下により物件価格が高騰するはずが、その分に見合うほど高騰していないのは金利の低下の恩恵を受けたからである。

ところが、最近ノンリコースレンダーの融資姿勢に微妙な変化が見られる。

一昨年から不動産業向け新規融資が急増しているのを受け、日銀は融資過熱に警戒感を強め、昨年の秋頃から金融庁の監視も強化され、国内金融機関はノンリコースローンに対する融資姿勢に慎重になりつつある。

担保価値に対して貸しすぎではないかとの疑いが持たれ、たとえば従来なら物件価格の80%を融資していたものが、70%、60%と下がる傾向にある。融資比率が下がるのを嫌い、ファンドの中には外資のノンバンクへ切り替えるという動きもある。

日銀の量的緩和策の解除の声が聞かれ、ゼロ金利の維持がいつまで続くか心配される。国と地方の債務が1,000兆円とも言われ、仮に長期金利が5%にでもなったとしたら、50兆円の利息となり日本の税収を超えてしまう。政府としては簡単に利上げできない事情にあるので、金利はいずれ上昇するものと予想されるが、大幅で急激な上昇はありえないだろう。

超金融緩和策によりジャブジャブに資金が不動産に供給されているが、資産インフレを恐れいずれ不動産業界向け融資も通常に戻るであろう。そのとき、金融機関による選別融資が始まり、いくらでも借りられる業者と全く借りられない業者が線引きされる。

     2006年は不動産投資市場の転換期

2006年は不動産投資市場の転換期になるだろう。不動産が重要な金融商品に位置づけられるようになった今日、金融側にいるプレイヤーと不動産側にいるプレイヤーが違った視点でものを見ている。

どちらかと言うと金融側の人達は不動産を強気に、不動産側の人達は弱気に見ている。不動産側の人達は、目の前で起きている現象(モノ不足・競争の激化・利回りの低下・価格の上昇・空室率の増加・業者間売買の増加・在庫の増加など)つまり需給関係で判断する。

一方金融側の人は、日本経済の動向・金利の動向・為替の動向などが不動産価格を決定づけるものと考えている。どちらの考えも正しいのだが、世界のマーケットが一体になりつつある傾向の中、国内の不動産だけが別物であるとは言えなくなったので、金融側の発想をより重視しなくてはならないだろう。

このような視点で見ると、今の不動産投資市場は二枚潮ということである。海水の表面は西から東に流れていても、海中では東から西に流れているという状態である。表面的には日本経済の先の見通しが明るくなり、超低金利も続き、世界的インフレ傾向だという予測から益々不動産投資に資金が集まるだろうという流れがある。一方需給関係のバランスが悪くなっている時に、金融の実質的引締めが少しでも起きれば不動産価格が急激に下落し、デフォルトの危険性をはらむ。

この潮の流れが表においてもあきらかに変わるのが何時なのか?誰しもが知りたいことだが、不動産投資ビジネスの当事者は、得てして希望的観測になりがちである。

 2006年中にこの潮目が変わる可能性があることを想定に入れる必要があるだろう。不動産業者の中には、モノ不足にもかかわらず時間のかかる開発案件や流動性の低い郊外や地方の物件を避け、いつでも換金できるものに絞りこむ業者も目立ちはじめた。

 不動産の景気動向指数は遅行指数と言われるが、他の先行指数を見て判断する金融出身の不動産ファンドマネージャーなどは経済情勢の変化に応じ、変わり身の早い行動が予想され、そのときに大幅な市場価格の変動があるので要注意だ。

 不動産投資市場の頂点に位置するリートの動きは特に注意しておきたい。リートの評価が高まれば安定した不動産投資市場が形成されていくが、今のところ二極化が進んでいる。母体が大きく、都心に大型の優良オフィースを中心としたリートは株価の上昇が見られ、レジデンス系の評価が厳しい。最近ではレジデンス系の上場が相次いでいるが、平成159月以降公募割れが発生し、株主からは厳しい評価となっている。

 ファンドは35年後に物件を処分する計画であるが、その買主として他のファンドかもしくはリートを想定している。ファンドの規模を大きくし、将来的には自らリート市場に上場する計画(リート成り)が多いが、今のところ上場後の評価に不透明感があり、出口としてリートがあると言い切れない。

 リートは一口50万円前後で売り出されるのが一般的であるが、年間2.5万円程度の分配金を出せることが望ましい。そのためには、物件の平均ネット利回りは5.5%必要である。都心だけの物件ではその利回りの確保が難しいので、地方や築年数の古いものを含めるなどして利回りの確保に努めなくてはならない状況にある。

     勝ち残りの戦略

黎明期にあった不動産金融や不動産投資の分野において、参加者全員が勝ち組になることができたが、黎明期を終えた今日、勝ち組・負け組の格差が生まれてくるのは当然である。

ファンドの中には特徴を明確に打ち出すものもあり、勝ち残り戦略が垣間見られる。あるファンドでは物件の取得において、入札を避け相対取引とするために、他のファンドと競争のない3億前後の小さなレジデンス系に絞っている。購入の意思決定も現場に権限委譲し即日回答している。また地方の物件も積極的に取り扱っている。開発物件もゼネコンとタイアップして土地取得段階からコミットしていく。手間隙がかかるが無競合により物件取得できるので、取得価格が抑えられ高配当が可能となる。

アイディーユーは不動産オークションで実績を上げている会社であるが、オークションされる不動産の90%が収益不動産だという。

 2005年度の落札件数は1291件に及ぶが、そのうち個人が約70%で、一般投資家からも支持を得ている。物件の情報提供も親切丁寧で、物件の固定資産税や管理費、保険料などの経費も紹介され、ネット利回りでの判断ができる。入札の際には価格を打ち込めば対応するネット利回りが瞬時に計算されるので便利である。

未だグロス利回り(売上をベースとした利回り)を中心に紹介している不動産業者がほとんどであるのに対し、アイディーユーの姿勢は爽快である。そもそも価格形成の過程において透明性を高めるということが、オークションの役割である。このあたりのことが投資家に評価され、オークションとの相性が良いのだと思う。

今までの投資物件は不良債権の処理物件が中心だったので仕入れ段階で相場より安く仕入れることができ、取得した段階ですでに含み益のあることが多かった。ところが、今後は不良債権の処理も一段落し、今までのように簡単なソリューションを施し転売するというようなスキームだけでは困難となってくる。

 今後は真のソリューションが求められ、コンバージョンをするなどして付加価値を付け、利回りを上げていくことが求められる。事例は色々な所で紹介されているが、まだ大勢を占めるものではなく、実験的に行い各社のプロモーションに使われている段階である。

 アイディーユーではコンバージョンにブランディングという発想を加え、ビルそのものにブランドを付け価値を高めることに努めている。デザイナーを起用して内外装のデザインを高めるのはもちろん、有名テナントの誘致の仕掛けを作るなどしてブランディングしている。近隣の賃料相場との比較による賃料設定ではなく、ブランドを付加することによって独自の強気の賃料とすることができる。

 業者の中にはバリューチェーンによる勝ち残り戦略を標榜するところも多い。証券化業務、ファンド・アセットマネジメント業務、プロパティーマネジメント業務、不動産ソリューション業務、流動化関連サービスをトータルに行い、利益相反に抵触しない範囲で関連業務を取り込んでいる。

 最後に泥臭い話だが、勝ち残るためには日常のファーミング(耕すこと)が重要であることを申し上げたい。地域もしくは人脈のファーミングを行い、優良な情報を得るために日頃からマメに働きかけつづけることである。たとえ環境変化があったとしても最後に勝つのは、日頃から地道な関係づくりをしている人々である。