お客様の声・事例紹介 (深谷 格 様)
■大橋 元治 様
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< 守りから攻めへの相続対策 >
■相続税の納税資金を捻出
深谷さんは、千葉市で、土地活用以前は田を一町歩と広い畑をお持ちでした。その土地を、お父さんが昭和46〜47年頃に半分位売却して、そのお金でアパートや貸家、職人宿などを建てられたのです。その意味では、30年以上前から資産運用に着手されていた、ということにもなります。
そしてお父さんが平成3年に亡くなられ、お母さんと深谷さんで土地を相続されたのでした。
その相続税が、1億2,000万円。その内の半分は物納としましたが、残りの半分が払いきれません。そこで「どうしようか」ということになったのです。
そんな時に深谷さんと知り合い、相談を受けました。
私の提案は、次のようなものです。ちょうどその頃、相続税の納税のために土地を売却する場合は課税しないという特例が、3年間の時限立法で設けられていました。この特例を活用して、相続税の納税のために土地を売却する、ということです。
深谷さんの資産の中には、売却すると納税額の2倍以上になってしまうくらいの広さの土地がありました。そこで、その土地を6分割し、売却用には適度な広さの50坪の2区画を、そして広めの4区画は定期借地としたのです。
定期借地は同じ予算で、ゆったりと暮らせることを売り物にしています。だから分譲よりも広めの土地にした方が、借り手が見つけやすいからです。この2区画を売却することによって、納税資金をつくり完納することができたのでした。
■2次相続対策は賃貸マンション
次に、平成7年に区画整理されていた土地が、本換地となって返ってきたので、その内の1区画約100坪を売却しました。当時は、サッカーのワールドカップの準備期間だったので、会場やその代替地として県に売却すると、譲渡所得税が当時の税率である39%ではなく、20%に割り引かれる特例が設けられていました。この特例を活用して7,000万円で売却したわけです。
この資金は、すぐに使い道があったわけではないのですが、現金にしておかなければ有利な投資があっても機動的に動くことができず、チャンスを逃してしまいます。そんな思いもあって、現金化したわけです。
それから、お母さんが相続した約600坪をどうするかを検討し、この土地については3LDK32世帯の4階建てマンションを建てることに決めます。資金は、3億6,000万円。公庫から全額融資を受けました。建築費は1戸当たり1,100万円ですから、標準的な建築費です。また家賃も1戸当たり平均7〜8万円ですが、個別で管理するのは深谷さんのお勤めもあり大変なので、月額240万円で一括借上げにしてもらいました。
それ以外にもこの時期には、活用しにくい土地をラジコン自動車のレースサーキット場として貸したり、職人宿を建て替えたりなどしました。
ここまでで、深谷さんの土地活用の第一段階は終了です。
■不動産投資で資産の拡大
それから10年たち、平成15年になって、第二段階に着手しました。
きっかけは、深谷さんの奥さんがお勤めを辞められることでした。
そこで、奥さんが会社を辞められる時に間に合わせて、賃貸経営を法人化して奥さんに給料を出すようにしました。所得の分散を図るためです。
不動産収入の10%程度であれば、この法人に管理費として支払うことが税務上も認められていますが、その10%が基本的に奥さんの給料となるわけです。
土地活用での収入から見れば、深谷さんご自身もお仕事を辞めることは可能です。しかし、子どもがまだ小さいので、先延ばしにしています。
その理由は「子どもが『お父さんのお仕事は?』とたずねられたとき、『家でブラブラしているよ』というのは教育上もよくないからね」と笑って説明してくれますが、確かに資産家にとっては、このようなことも大きな問題です。
法人化に続いて、第二段階では地下鉄駅から3分ほどの場所にあるマンションの購入を検討しました。そのマンションは、東京の近接地にある4階建てで17㎡のワンルームが38戸、2億2,000万円の物件です。
立地は申し分ありませんし、利回りも高い魅力的な物件でした。深谷さんは通勤途中にも何度も建物を見に行き、「銀行が全額融資してくれるなら購入しよう」と決断します。
自己資金も多少はありましたが、空室を減らし長期安定経営を図っていくためには、補修が必要です。その補修のために自己資金は使いたいと考えたのでした。
しかし、銀行も「購入物件を担保にしただけでは全額融資はできない」という回答です。そこで、考えたのが自宅の一部を担保にするということでした。自宅は、何も利益を生んでいない資産です。その自宅を担保とすることで、利益を生む資産を手に入れるというのは、効率的な資産活用と言えるでしょう。
■建物は管理が大切
ただ、このマンションについては購入後、管理会社をめぐって、少しトラブルがありました。その点も、紹介しておきましょう。
マンションの購入時点で、38室のうち5室の空室がありました。しかし購入契約をした翌日に「翌月、さらに8室が退去の予定です」と伝えてきたのです。その不誠実な対応に怒った深谷さんは、すぐに管理会社との契約を解除。別の管理会社に変更しました。
しかし、13室が空室になったのは事実です。赤字にはなりませんが、利益は出ないというレベルです。
そこで、本格的な大規模修繕に取り掛かりました。空室に関しては、全部フローリングに変更するなどし、その甲斐あって大規模修繕後には空室も全て埋まりました。
この大規模修繕も、深谷さんによる直接手配によってコストを抑制しています。リフォーム会社に一括して発注するのではなく、コーディネーターを立てて、それぞれの業者に個別発注するわけです。コーディネーターを立てるのは自分で段取りする専門知識がないからです。
一般にリフォーム会社は、受注額の30%を自己の利益として考えています。そうして、各下請けの施工業者に発注するわけです。しかし、コーディネーターに工事費の10%をフィーとして支払って、施工管理全般を依頼すれば、約20%も安く大規模修繕工事が行えることになります。見積もりは「材料費がいくら」、「手間がいくら」と明確にはじき出されるのでドンブリ勘定が利かないわけです。透明性が高く、入札によってコストが抑えられ、プロ中のプロの工事管理全般が受けられる手法です。
現場の職人さんがニコニコ顔で話していました。「いつもより手間賃は少ないのに、手取りが多い、親方に抜かれないからなんだね。今日は美味しい酒が飲めるぞ」と。
深谷さんは定期借地権の設定、土地の売却、大規模修繕のすべてについて代理人を立てています。いずれもプロの代理人が現場を直接仕切り、中間経費が掛からない仕組みとなっています。深谷さんは衣を何重にもしたエビフライのようなやり方に対し、大きなムダを感じているのです。「大会社はブランドがあるから高くてよい」という発想では、このような賢い消費者から背を向けられる時代になってきたのかもしれません。
このマンションからは毎月の収入が190〜200万円。そのうち、20年ローンの返済が110万円です。収入の全額を返済に回せば、10年で返済できます。今度は返済年数を短くしました。鉄筋コンクリートの建物であれば、30年返済という方法もあります。しかし、それでは10年経った段階でローンが思ったほど減っていないのです。20年返済であれば、10年経った時点で半分弱のローンが減っています。
将来金利が上がるかもしれないし、賃料の下落だってありえます。そんなときに、ローンの残債が少なくなっていればリスクが少ないと判断したのです。したがって、利回り優先で物件を求めました。深谷さんは多少、見てくれが悪くとも、実質の利回りが高く、早く資金が回収できることが重要だと考えたのでした。
■老朽アパートの建て替え
さらに、今後の計画が続いています。
その一つは、30年前に建てた古いアパートがありますが、この土地は道路付けがよくありません。隣の土地が売りに出ているので、これを購入すると道路付けがよくなり、資産価値が上がります。これをお母さん名義で購入する予定です。
もう一つが貸家の建て替えです。これもお母さん名義で全額融資を受けて進めます。そうすると、相続時には借入金の額はそのまま評価されますが、そのお金で建てた建物は3分の1になり、相続税を減らすことができるからです。深谷さんの場合には、これで相続税がゼロになります。
それから、深谷さんの場合には、そのままにしておくと、どんどん返済金が減っていき所得税が大きくなってしまいます。そこで資産を次々と増やしていき、所得税を圧縮することが有効になります。しかし、その場合でも、資産はいつでも売却できるようにしておくことが大切です。万一の非常事態にも備えておくことができるならば、この資産を増大していくことは大変有効な戦略になりえます。
加えて、法人の活用です。建物が古くなって固定資産税が低くなっていけば、所有権を法人に移すことが可能になります。これは、法人の所得税の上限が個人の所得税の上限よりも低いことによる所得税対策になりますし、さらに将来には子どもにその法人から給料を支払うことで所得分散を図り、所得税を軽減することも可能となります。
■前向きな資産の組み替え
深谷さんの土地活用戦略を振り返ってみましょう。深谷さんの場合には、まず収益が出るような資産の組み替えを行いました。その際に、果敢に土地を売却されているのですが、その判断が後に大きな意味を持ちます。当時はバブルの時期で、ほとんどの人が値上がり期待で土地を守ろうとしていたわけです。そうして土地を買い足したりしていたのですが、そうすると、今頃は大変なキャピタルロスを強いられていたはずです。
深谷さんの場合は、売却して収益を生む資産に組み替えることができた点が、大きなポイントでした。
次に、所得税対策として管理法人を設立し、所得の分散を図っています。今後はさらにその法人を所有法人として、さらなる所得の分散を可能にするという戦略をとっているわけです。
深谷さん自身は、「先祖からの土地を売ってしまったけれど、その分は同じ面積の山でも買っておけば、ご先祖様も文句は言わないはず」と、割り切って考えておられます。実際、先祖からの土地を守る、として、何もしなければ資産そのものを失うことになるわけですから、深谷さんのような割り切りが、今後の土地オーナーには不可欠になるのではないかと思います。
■自宅が稼いでくれる
深谷さんは、更に資産を増やしていくことを検討しています。持っている資産ごとに分析すると、どうも自宅用地がただ広いだけで収益を生んでいないことが分かったからです。普通であれば、庭先にアパートでも建てようかということになりますが、深谷さんは違いました。
「大家の近くに入居者は来たがりません。そもそもアパートはアパート適地に所有するものです。千葉市では限界があります。東京か東京に近い若者の人気エリアでアパート経営をした方がベターです。自宅は担保提供することによって、自宅にも収益貢献させれば良いのですから」と力説しています。深谷さんは経営者感覚をお持ちの方なのでしょう。細かいことは「すべてお任せ」ですが、大胆な戦略を構築して実行していく行動力をお持ちです。その意味で、大家ではなく資産家であるといえます。いや、資産家というよりは資産経営者といっても過言ではないでしょう。

