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第8回 地価の混乱

もはや公示価格≒実勢価格と言い切れなくなってしまった。マンションディベロッパーの担当者は「最近では購入価格を検討する際、公示価格の2倍からスタートします」という。ビル用地の取引では公示価格の3倍から4倍で取引されたという情報が飛び回っている。

 ところがマスコミの地価の報道は、基準が明確となっていることが必要で、公示価格や基準地価などの公的な情報をベースにされている。そのために、実際現場で個々に取引されている価格との相違に違和感を感じてしまうことが多い。

 とりわけ地価のトレンドに対する報道は全く逆ではないかと思われることもある。地価は底値を脱却したとの報道がある一方、取引の活発な都心の土地では転売を目的とした業者の買取が一巡し、思うように転売が進まなくなったために値下げが増えている様子からすると、もはや都心の地価はピークアウトしたかのようにも思える。

 取引の現場では公示価格のトレンドとは違い、上がるときは短期間に一気に上がり、下がるときも一気に下がる。例えば現場では1年で倍ぐらいになったのかなあと感じるのに対し、公示価格は一割しか上がっていないという具合である。大幅な地価の変動は政策上好ましくないと考えられているのであろうか?

 公示価格は取引事例をベースに算定されるのに対し、現場ではそこで事業を行うにあたって見合う価格であるかという視点で値付けがされる。現場は実需であり、真実の価格の動きである。公示価格はあくまでも公的に利用される税金等や経済政策の指標である。

 このことは、プロの間では公然のことではあるが、一般投資家にまでは理解されることはない。したがって、マスコミ等で「地価は底値を脱した」などと報道されると、一般投資家は現場現実のトレンドを見ることなく、投資を始めてしまったりする。

 ところが、現場現実のトレンドは全くの逆であったりすると、将来大きな痛手を受けることになる。

 今世の中は自己責任による投資ブームであるが、地価の情報開示や透明性が進まなければ一般投資家へ迷惑をかけることもそのうちに出てくるだろう。