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第六回 資産デフレ?

基準地価の発表を受け、一般紙では「もはや資産デフレは脱した」との論調で報道されている。ところが、不動産の現場では「もはや資産インフレは脱した」と全く逆の意見が囁かれている。「そろそろピークアウトしそうだ」「いや、すでにピークアウトしている」などの声が日に日に強くなっている。最近の不動産取引は不動産投資ファンドが市場を牽引している。ところが、この不動産投資ファンドの動向に変化が見られる。

 担当者が「このぐらいの価格だったら会社で買うことができるだろう」と想定していた価格が、いざ会社で正式に価格提示をする段階になって、大幅に下がっているのである。原因を尋ねたところ、「不動産鑑定士の鑑定評価が思ったより低かったからです。」との回答であった。

 さらに突っ込んで尋ねると、「以前は鑑定士も自社で自由に選べたのですが、最近では金融庁の指定がある一部の大手の鑑定士に限られ、査定が厳密になっているからです」との返答であった。

 収益還元法をベースに鑑定評価する場合、キャップレート(期待利回り)の設定によって自動的に価格が算出されるため、キャップレートに着目する。

 このキャップレートは通常Aクラスの物件を基準に考え、物件の持つ特性の中に潜むリスクプレミアム分を加え算出される。リスクプレミアムは遵法性、築年数、テナントの種類、借地か所有権か、空室率の動向、滞納の有無などの賃貸条件によって決定していくのである。

 以前は鉛筆ナメナメということもあったと聞いているが、最近では設計士や監査法人や信託銀行の不祥事を是正すべく、世間や監督官庁の目が厳しくなっているので、どうしても辛目の評価となっているのである。

 このような環境変化によって、キャップレートが上がり、その裏返しとして価格が下がってきているのである。

 先日もあるファンドとの取引が確定していたのであるが、契約直前でキャップレートの数値が0.5%上がったことを理由に取引が不調に終わってしまった。

 もはや、資産インフレの終焉ではないか。都心を中心とした、収益還元価格で取引がされる不動産価格は値下がり始めたのであろうか?