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第17回 業界在庫

ネットワーク88を主宰されている幸田昌則先生の持論で大変ありがたい原理原則がある。それは「不動産市況を占うのは比較的簡単です。在庫を見ていれば先が読めます」というものだ。

私は今の不動産動向を比喩する言葉として「二枚潮」を良く口にする。二枚潮とは表面の潮流と海面下の潮流が全く逆方向に流れている状態を指す。表面上は物凄く活況を呈し値上がりしているのに対し、海面下ではより戻しによって値下がりがおきているのである。

業者を中心に資金調達が容易な現状では、一斉に買いの圧力が強まっている。このような状況においては需要が旺盛なので値段が上がっていくように思われがちである。さらには「モノ不足で買えなくて困っている」という声を聞くとさらに拍車をかける。

もっと深く考えてみよう。モノ不足というのは、「買っても良い不動産が不足している」という意味で、売り物件の数そのものはむしろ増えていく状況にあることを理解してもらいたい。

売り物件の数が増えていくということは在庫が溜まってきているということである。冒頭に申し上げた、業者の在庫が増えているということで、いわゆる業界在庫が蓄積されつつあるということである。

一昨年くらい前までは「買っても良い不動産」が工場でモノを作るがごとく不良債権の処理や企業会計基準の変更で市場に出回っていた。

ところが、現在では概ね不良債権モノや企業の遊休地売却は出尽くして買取業者が転売用に取得した物件の売却が取引の中心となっている。

そこには業者の転売益が上乗せされているので、以前のように取得した時点で転売益がすでに得られているという状況ではなくなってきた。中には業者間で2回転、3回転しているものも珍しくない。買取ったのは良いが想定した価格では売却できず、業界在庫となっていく。

このような在庫も今のところ過去に取得した含み益のある物件とミックスして売却することは可能であるが、それも長くは続かない。

今年は業界在庫の動きに今まで以上に注意しなければならい年だ。素人はマスコミ等の地価反転という言葉に踊らされているが・・・。