第16回 ミニバブル
今の都心の値動きを見てバブルの再来であるという意見を聞く。それに対し供給側からの反論は「収益性、事業性から逆算して算出した価格で取引されているのでバブルではない。」である。
この反論は論理的なので納得させやすいのであるが、感覚的には「やっぱりバブルじゃないの」と思っている人は多い。
収益性での判断ということは、突っ込んで見ると期待利回りが合理的な設定になっているかを着目すれば良い。
期待利回りは長期国債利回りに不動産固有のリスクプレミアム分を上乗せした利回りと言われている。不動産固有のプレミアムとは市場の変化、金利の変化、税制の変化、関連法規の変化などである。
仮に長期国債が2%、不動産固有のリスクプレミアムを3%とすれば期待利回りはネット5%ということになる。不動産も需給によって価格は変動するので、供給不足となれば-1%して4%、需要不足となれば+1%の6%といった具合である。
つまり、4%~6%の中で動いている間は適正価格と判断できる。もちろん、この期待利回りは優良物件の期待利回りで、築年数が古いだとか駅から遠いなどのマイナス要因があればリスクプレミアムの数値が上がることを理解しておかなければならない。
現状の取引では期待利回りが4%を切ることも多い。もちろん、取得後リモデリングして賃料が上がり5%の期待利回りで売却できるのであれば問題はない。ところが、市場の取引の大半が買取転売である現状からすれば、4%以下で取引された部分はバブルである。このように市場全体が高騰しているのではなく、収益還元法で取引される物件の価格の期待利回りが理論値を越えている現象をミニバブルと呼ぶ。
また何でもかんでも5%のネット期待利回りで価格形成されていることは要注意である。個別物件のリスクの大小に関係なく、同じような期待利回りで相場のごとくに取引されているのは明らかにおかしい。
なお需給関係で一番大きな要因は金融である。金融が引き締まれば、ミニバブルも瞬間的に弾けることになるだろう。今年がその年にならないことを祈るばかりである。

