第14回 現況有姿契約
中古物件(既存物件)の場合、「現況有形有姿での引渡をする」との特約を付ける場合が多い。後から文句を付けさせないぞとの意思がくみ取れる文言である。ある意味、売主側にすれば大変便利な魔法の言葉でもある。賃借人がいる場合など、内部の見学をしようにも入居者がいるので現実的にはなかなか難しい。
便利な魔法の言葉であるから、トラブルも多い。何をもって現況というのかその定義で揉めるのである。
言葉の上では、とにかく今ある姿のままでということなのだか、実際の取引では「残置物は撤去してください」「落書きは消してください」「雨漏りは修理してください」「故障しているエアコンは修理してください」などの要求があった場合、現況有姿売買といえども要求を呑まざるを得ないのが現実だろう。
一番の問題は瑕疵である。将来発見されるかも知れない雨漏りや構造体の損傷や白蟻の被害などはいくら現況有姿といえども、やはり売主側で責任を持つというのが一般的であろう。
後々まで、仲介者がこのような問題に振り回されるのもイヤなので、中古住宅(既存物件)等では築15年にもなると建物の評価を0とし、土地の売買契約ということにしてしまうこともあるくらいだ。確かにすぐ建替えるのなら分かるが、しばらくそのまま使う場合にはちょっとやりすぎではなかろうか。日本では土地が全て、建物など古くなれば価値がないという認識が根強いので、こんな理屈も通ってしまうのかもしれない。
現況有姿の売買では、「付帯設備及び物件状況確認書(告知書)」を必ず交付することをお勧めする。付帯設備の有・無し・撤去を明確にすることができるし、物件の状況を経年変化以外について、建物・土地・周辺環境・その他引継ぎ事項を明確にしておくことができる。そうすれば、「後から聞いていなかった」というありがちなトラブルは減少する。
売主側からすれば、不利な事は先に告知したもの勝である。価格の減額請求を受けたくなければ、先に言っておくのである。うそがバレて信頼関係が崩れてからの取引は苦労が多いということを忘れないでいただきたい。

