第11回 お役立ち(後編)
前回の連載では不動産の仲介業務はもはや物件情報の提供やテクニックだけではなく、お客様に対して「お役立ち」の基本姿勢を示すことが大切で成果も出しやすいという趣旨の話を紹介した。
不動産仲介営業においても、一旦モノの見方や考え方を顧客への「お役立ち」とし、商談の進め方を変えてみてはいかがだろう。
たとえば、お客様は資産家である場合が多い。そうなると相続のことが気になる人が多いはずだ。相続税が心配で不動産の購入を躊躇されることもある。「不動産を購入すると手持ちの現金がなくなり、将来相続税が払えなくなるのでは」といった漠然とした心配である。
すぐにその場で相続のアドバイスができれば、問題が解決されると同時に信頼が得られ成約となる。「お客様の資産は時価では約2億円ですが、評価額で約1億円です。基礎控除8千万円と債務控除3千万円があるので、相続税はかかりません」のように答えられれば合格である。自身がない場合は即答した後、「念のために税理士にも確認しておきます。」と付け加えれば良い。
「お役立ち」はなにもこのような専門的なアドバイスだけではない。人を紹介することだけでも良い。就職やお嫁さんの紹介ということもあるだろう。顧客の仕事に役立つ情報などは最も喜ばれる。
このように考えると、「お役立ち」できることは無限にある。
たしかに、商品(不動産の場合は物件)をドンドン売り込むほうが、単純で判りやすいのかも知れない。一時的にはそのほうが成果を出せることも事実である。
ところが、お役立ち営業を主体とした営業は顧客から評価され、その結果、紹介による成約が増えてくるのである。
私の知人で上場会社のE社社長は営業担当者に「お役立ち伝票」を持たせ顧客を訪問し、お役立ちしたことを伝票に記入後、顧客にサインをもらってくるようにさせた。「お役立ち」というモノの見方・考え方をツールにして進め方レベルまでに落とし込んだグッドアイディアである。この「お役立ち伝票」を使った新人くんは、物凄いスピードで成長した。
草取りから始まったお役立ちが、億単位の不動産を動かすに至ったのだ。

