ふくちゃん・りなの不動産投資学校

第9回 これからの不動産投資動向について

◆ゲスト 株式会社東京アプレイザル 代表取締役 芳賀則人

里奈 (ゲスト紹介)
株式会社東京アプレイザル 代表取締役 芳賀則人(はがのりひと)先生は不動産鑑定士です。
26年の経歴があり、現在までに数千件の鑑定評価の実績をお持ちで、主に金融機関・税理士・弁護士・地方公共団体から仕事をいただいております。
先生は業界の発展のために、不動産実務学校や相続アドバイザー養成講座・無常塾などを主催し業界に多くの人材を育てております。
平成12年よりNPO法人相続アドバイザーズ協議会を設立され、「相続の専門家」を育てることにも注力されています。

福田
それでは、本日のゲストの芳賀先生ですが、日本を代表する不動産鑑定士の一人です。
芳賀先生のすごいところは、芳賀先生の回りには、志が高くかつ思いやりのある人ばかりが集まっているということです。芳賀先生の主催する勉強会やセミナーに参加するとそのことが実感できると思います。
芳賀先生、こんな紹介でよろしかったでしょうか?

福田
前回のテーマは「今までの不動産投資動向について」ということで、過去の話が中心でしたが、今週は「今後の不動産投資動向について」紹介してもらいます。
ファイナンシャルアナウンサーの里奈さんに質問をしていただき、芳賀先生が答え、私が解説を加えていきます。

里奈
それでは、さっそく最初の質問です。
1. 今はバブルですか
都心を中心にミニバブルなどと言われて久しいですが、やっぱりバブルですか?

芳賀
バブルといって良いと思います。但し、都心部の商業地は収益価格の概念がかなり浸透していますのである程度説明がつきます。しかし利回りが3%を切ってそれが普通の商業地にも波及して当たり前の状態になるとかなり危険水域になるでしょう。長期国債の金利水準が1.6%前後ですので、不動産の利回りはこれのプラス2%ぐらいがいいところなのですが。
それに反し住宅地の上昇は説明がつきません。サラリーマンの収入はむしろ減っています。
購入側に買う資金がないとすると、これが長続きするとは到底思えません。
この10年間ハウスビルダーといった、低価格を売り物にした建売会社はむしろ困ることになるでしょう。私は10年前に地価が下がり続けた方が建売屋さんは良いと思いますと講演会でも言っていました。なぜなら、今まで手が届かなかった若年層でも買える水準になったからです。でも、今年は練馬区でも上がりましたが、7000万円以上もする建売がそう簡単に買える30代はいるのか疑問です。個人的には練馬区の地価の実力はせいぜい坪100~130万ぐらいだと思います。

福田
バブルと断言されましたね。心の中ではバブルと思っていても、本音でズバッとバブルと言い切る人は少ないですね。
ただ、収益不動産に関しては今のところ、プロの投資家の主動で売買されてきたので、極端な高値買いはないようですね。
これから、一般投資家が値上がり期待で動くと怖いですね。


里奈
20年前のバブルとの違いは何ですか?

芳賀
構図は同じです。まずは金融の大緩みと金利が低いことです。20年前のバブルのときと違うのはあの時は住宅ローン金利が6%ぐらいだったはずです。それでもバブルが起きた。今回はローン金利が2%~3%台です。だから本来買ってはいけない人も買える。低金利によって返済できるというからくりにより地価が割安になったわけです。その観点からするとむしろこのバブルはきついかもしれません。

福田
全く同感ですね。

里奈
2.これからの地価動向を占ってください
短期的、中長期的それぞれの動向を占ってください。併せて地価動向を左右する要因を教えてください。

芳賀
23区に限っては、短期的には、と言っても2年ぐらいは強含みで行くでしょう。
それもこれも、金利次第です。金利を上げたい日銀と上げたくない財務省との綱引きですが、ガソリンやマヨネーズの値段が上がり出しました。不動産の加熱振りを日銀は知っているはずです。これを放置しておくとまたまた行くところまでいってドカンと破裂した過去の二の舞です。プロの業者は如何に手仕舞うかがこれから腕のいや感の見せ所でしょう。

福田
最近の不動産は需要と供給の関係で価格が決まるというよりは、金融による要因の方が大きいと思います。銀行がジャブジャブ融資をしている限り、多少の金利が上がったとしても人気地区の地価は上がるでしょう。ところが一旦銀行の金融引き締めや選別融資が始まると一機に下がります。


里奈
3.これからの収益不動産の価格を占ってください
収益不動産も金融商品と捉えられるようになると、海外の動向や金融、税制などの影響を受けるので、予測が極めて難しくなってきていますが、芳賀先生の個人的な予測を大胆に行ってください。

芳賀
収益物件は非常に流れが速いと考えるべきです。常に家賃状況をウオッチして、遅くても3年程度で見直しをするぐらいの勇気が必要です。入れ替え、買い換えです。それと地域の分散化です。間違っても、郊外の辺鄙な物件は買わないことです。(これはカットしても良いです)
利回りは、金利が上がることを見据えて価格の吟味は十分にすることです。そして場合によっては買わない勇気がいるでしょう。

福田
ここ一年くらいは大丈夫のような気もしますが、その先はその時になってみないと分かりません。優良物件を長期で持つことと、固定金利で借りて購入するのであれば良いかもしれません。


里奈
4.不動産鑑定士から見た不動産投資のアドバイス
ご自由にお願いいたします。

芳賀
言っていいかどうか分かりませんが。上がっている地域で、この2年ぐらいはマイホームを買うのは控えた方が良いのでは。
欲張らずに、投資というよりはいい物件を世のために供給すると言う観点で。儲けを優先すると碌なことはありません。先人の(実は私)教えとして。

福田
やはり、芳賀先生は善人ですね。



まとめ

1.人気地区を中心にミニバブルとなっているのが現状です。短期で売買するのであれば物件をよく見極める必要があります。長期で保有するのであれば立地や収益性を吟味して優良物件と判断した場合のみに購入した方が良さそうです。

2.一番可能性の高いリスクは金利の上昇です。金利が上がると相対的に収益不動産の魅力が下がるので価格が下がります。また、銀行の貸し出し姿勢が厳しくなると、買手が減るので価格も下がります。金利が上がる前に固定金利で借りてしまおうという心理が、今収益不動産ブームを支えている気がします。

3.そもそも投資というのは、下がった時に買って、上がった時に売るサイクルビジネスです。これから上がるだろうという判断で収益不動産を買うのは、今の時期ではないような気がします。あくまでも、収益の裏づけのある不動産を安定収入と捉え購入すべきです。一般投資家はあまり売却益を期待しない方が賢明です。