ふくちゃん・りなの不動産投資学校

第23回 不動産投資ファンドから学ぶ不動産投資のツボ所

◆ゲスト 株式会社レイコフ投資顧問 代表取締役 矢野 英明

里奈 (ゲスト紹介)
レイコフさんは、今脚光を浴びている不動産投資ファンドを運営するグループ会社です。
その仲でも株式会社レイコフ投資顧問は事業の中核とも言える、不動産ファンドの企画・組成・投資顧問業を担当しております。
本日は株式会社レイコフ投資顧問 代表取締役 矢野 英明さんをお迎えし「不動産投資ファンドから学ぶ不動産投資のツボ所 」というテーマでお話を伺います。

福田
レイコフさんは主に三大都市圏の賃貸マンションへ投資を行って運用している、不動産投資のプロ中のプロです。
今週は不動産投資のプロから、不動産投資の実践的な考えを学んでいただきたいと思います。
それでは早速ファイナンシャルキャスターの里奈さんが質問し、矢野先生がお答えし、私が解説を加えながらすすめてまいりましょう。

里奈
1. プロの不動産投資ファンドと一般の不動産投資家との違いはスケールメリットだとされています。具体的にはどのようなものがありますか?

矢野
不動産ファンドと一般の不動産投資家ではまず所有している物件数が大きく違います。100棟以上の物件を所有している一般投資家はおそらく稀でしょうが、不動産ファンドでは稀ではありません。
例えば物件管理会社へ委託するとき、まとまった棟数で委託する方が価格交渉を有利にすすめることができます。
またローンを借入れる場合、ローンを貸す側の金融機関にとってもファンド向けでは借入額もまとまり、担保物件もリスク分散できることから、借りる側にとっては金利等の条件交渉を有利にすすめることができます。とくに今はノンリコースローンといって差し入れる担保を不動産のみに限定できる借り手にとってはリスクを限定したローンもありますが、このローンもやはり個人の方よりも不動産ファンドの方が借入れしやすいことがあります。
結果的に同じ不動産へ投資するにしてもファンドを通して投資するほうが収益性は高くなると思われます。

福田
まさに、スケールメリットこそが不動産投資ファンドの命ですね。
分散投資によるリスクヘッジと運営のコトタダウンは一般投資家には難しいかも分かりません。

里奈
2. 先週にもお伺いしましたが、聴取者の最も聞きたい「目利き」についてさらに詳しく具体的に教えていただけますか?

矢野
目利きをする上で重要視するのはやはり収益性になります。それは現在の収益だけでなく、将来の収益性を考慮することがより重要になると考えています。
では収益性を図るものは何かというとこれは数多くの要素があるため短時間では説明しきれませんが、例えば築年数や立地はテナントがつきそうか、またいくらならつきそうかといった収益性やその安定性を図るものさしとなります。規模などは将来売却するときの流動性を図るものとなります。
このほかには利回りで取引されることから、金利水準や株式等の経済動向、また人口動向なども要素となります。
目利きとは決して感覚に頼るのではなく、あくまでも物件が持っているいろいろなデータや、物件の周辺の状況、経済動向などのマーケティング等のデータを重視し、それらを総合的に勘案します。

福田
やはり目利きがレイコフさんのノウハウなので、この場ではなかなか核心を教えていただくことは難しいのでしょうか?
目利きは感に頼らないということですが、どうも現場ではやはり経験と感も重視されているような傾向にあると思います。
どちらかと言うと、まず経験と感で優良物件を発見し、後から数値を当てはめその妥当性を数値で確認するというプロセスを踏んでいるというような気もします。
分析力と経験と先を読む力が相まって一つの成果を出されているのだと思います。
よく、伝説のファンドマネージャーなどと呼ばれる人がいますよねえ。
そもそも優秀なファンドとは先を読む力のあるファンドのことです。
このあたりのノウハウを言葉で表すことは大変難しいのかも知れません。

里奈
3. 一般の不動産投資家はプロのファンドと戦ってもその規模やノウハウで太刀打ちできません。それでは、一般不動産投資家ならではの不動産投資ファンドにないメリットはどんなものがあるでしょうか?

矢野
不動産ファンドは多数の投資家から資金を集める投資商品であるため、運用期間や投資方針、換金などにある程度の制約を受け、完全に自由な投資ではありません。例えば途中で運用対象や方針を変更してもらいたいと思っても他の投資家がいるために容易には変えられません。
一方、一般の不動産投資家であれば所有する期間や方針などはいつでも自由に変えることが出来ます。また換金する場合も価格を無視すればファンドよりもしやすいと言えるでしょう。こういったことはファンドにはないメリットと言えます。

福田
一般の不動産投資家は自営業の社長さんみたいなものですね。自分ですべて決められるという点はあまり気にしていなかったですが、確かに大きなメリットですね。
そういう意味では、時代の変化を先読みし、売り時だと思えば売り、買い時だと思えば買うという不動産投資の原理原則に素早く対応できる点を一般の不動産投資家はもっと活かすと良いですね。

里奈
4. 今までの矢野先生の経験の教訓として、一般不動産投資家にぜひこんなことに気をつけていただきたいということを教えてください。

矢野
不動産投資は他の投資商品に比べて非常に大きな資金が必要になります。そのためまず不動産投資のリスクをしっかりと見極めて欲しいということですね。例えばテナントが抜けたときのキャッシュフローがどう変化するか、地震が起こった場合にはどうなるか、またローン借りて投資した場合、どこまで収益性が落ちても利払いに耐えられるかなど投資する前にきちんと予測をたてて投資をして欲しいと考えます。

福田
一般投資家とプロの違いはリスクについての考え方でしょう。一般投資家は単に不安や心配に留めていますが、プロは不確実性の度合いとして捉え確率論で考えます。すべてのリスクを数値に換算して判断している点を一般投資家は大いに学ぶべきでしょう。

里奈
5. それでは最後に矢野先生が思う不動産投資の原理原則を一言で聴取者の方にご紹介ください。

矢野
不動産投資は投資額が大きいこと、また株式や債券といったほかの運用商品に比べてリスクが多岐にわたるため投資判断も難しいものであります。
しかし不動産投資は安定した収益を長期で得ることが期待できます。投資をする前には十分に物件を精査することが重要と考えます。そうすればリスクに見合ったリターンを得られる可能性もより高くなるでしょう。

福田
素晴らしいアドバイスですね。
物件の調査のことをデューデリジェンスなどと言い替え、アメリカから来た言葉が重宝されていますけど、不動産投資ファンドはこの点に力を入れています。
物件の権利関係、紛争、境界問題、耐震性、建築基準法の遵法性、賃貸借契約書の中身、アスベストやPCBなどの有害物質、土壌汚染、近隣の風俗営業の有無、老朽度合いなど調査する点は様々あります。
一般の投資家もこれらのことを親身になってアドバイスしてくれる方を見方につけ投資をすると良いでしょう。


まとめ

1. 不動産投資ファンドと規模の競争をしても敵いません。むしろ不動産投資ファンド所有の物件の購入を検討したり、不動産投資ファンドに出資するということも考えてみてください。
2. 一般投資家は機動力があることがメリットです。規模は小さくとも小回りが利く利点を最大限に活かすことができます。あきらめないで、目利き力を養ってください。
3. 目利きの力(言い替えれば、物件調査力)を養うためには、常にリスクを見定め、それを数値に置き換えることが重要です。
利回りは立地だけで決まるのでなく、リスクと連動しているので中身を精査してリスクを利回りに換算する習慣を身に付けてください。