ふくちゃん・りなの不動産投資学校

第20回 長持ちさせる建物管理の方法について

◆ゲスト 株式会社リプレイス 代表取締役 栗秋景介

里奈 (ゲスト紹介)
本日のゲストは、株式会社リプレイス 代表取締役の栗秋景介さんです。
株式会社リプレイスはマンション管理、ビル管理、開発支援、メンテナンス等の建物総合管理を行っていらっしゃいます。
本日は「 長持ちさせる建物管理の方法について 」というテーマでお話を伺います。 

福田
栗秋社長とは仕事のお付き合いよりも、お酒や趣味のダイビングのお付き合いのほうが濃厚なのですが、本日はまじめにお話をお伺いしたいと思います。
それでは早速ファイナンシャルキャスターの里奈さんが質問し、栗秋先生が答え、私が解説を加えながらすすめてまいりましょう。

里奈
1.賃貸マンションオーナーは建物管理に関する意識が一般的に低いように思われていますが、実際、建物管理を疎かにするとどのような懸念があるのでしょうか?

栗秋
 賃貸マンションのオーナー様が建物管理に関する意識が一般的に低いように思われているのは、マンション経営を開始する時点で、建物管理に関する知識が乏しいことと、建物取得時に利回りを気にするあまり、建物管理に要する経費を最小限に抑えた「建物管理計画」でスタートすることに起因するのではないでしょうか。
 新築の場合はメーカー保証があるため、ある程度、瑕疵については担保できると思いますが、収益物件で転売が繰り返され築年数が古いものになると、管理会社が度々変更され、言ってみれば主治医のいない状態となって、過去の修繕履歴もはっきりしないものが多くあります。
 問題は、2001年9月の新宿歌舞伎町で起きたビル火災に始まり、回転ドアやエレベーターで起きた死亡事故等により、様々な法律の改正が行われたことによって、建物所有者の責任を重く問う傾向が顕著になってきていることです。
 したがって、法定点検等の実施は当然のこと、改善の必要な設備などに対しては
、迅速に対応する必要があります。
 対症療法も必要ですが、やはり計画的にメンテナンスを行い修繕計画を立案すべきだと思います。
 そのためには、信頼の置ける「コンサル会社」と、単に設備のメンテナンスだけではなく「管理・管財」が行える管理会社を選ぶことが懸命だと思います。
 長期にわたりマンション経営を行うには、建物の安全・安心・清潔を維持し続けることが「入居率」の安定につながると考えます。

福田
残念ながらオーナー自ら管理されている収益不動産においては、法律で定められた最低限の点検だけで済ましている方が多いのは事実です。私のようなアセットマネジメント(財産形成・管理)をしている立場から見ると、プロパティーマネジメント(物件の管理)をもう少ししっかりやっていただいたら、もっと高く処分ができたのにと思うことがよくありますね。


里奈
2.長期修繕計画は新しい分譲マンションなどでは、かなりしっかりしたものがあり計画的に修繕積立金が積み立てられ、計画的に修繕が行われているようですが、賃貸マンションでも同様な長期修繕計画が必要でしょうか?

栗秋
分譲マンションの場合、販売時に行われる重要事項の説明にも組み込まれているため、しっかりした長期修繕計画を提出することになります。私ども管理会社が作成いたします。
 賃貸マンションも、建物や設備については本来同じですから当然必要なのですが、販売時には、費用がかかるリスク部分になるため、長期修繕計画を提出し十分な説明を行うケースは少ないのではないでしょうか。

福田
賃貸マンションにおいても、管理組合が行っているような、建物の価値を維持し長持ちさせるための計画的な修繕を行ってほしいですね。儲けの中から修繕費を出すというのは気分が良くないので、あらかじめ修繕積立金として別口座に資金をプールしておきたいですね。

里奈
3. ちなみに、長期修繕積立金は毎月どの程度の金額を予定しておけば良いのでしょうか?
何か一つの事例を挙げてご紹介ください。

栗秋
オーナー様が修繕費を積み立てるかどうかは別として、5年・10年の単位で修繕費用がいくら位かかるかを知っておく必要があると思います。
 基本的には建物の規模・材質・設備がすべて異なるため、オーダーメイドでの作成が必要となりますが、一般的な仕様で建てられた分譲マンションの場合で、規模は20戸としましょう。20戸以下でも、建物や設置されている設備に違いはありませんから費用的にはさほど変わらないと考えてください。
 居室1戸あたりのメンテナンス費用は共用部分の清掃も含め、月額1万円程度、修繕積立金は7千円ほどが平均的なところでしょう。
 あくまで目安ですが、建物全体ではメンテナンス費用が月額20万円、修繕積立金が14万円ということになります。
 規模が大きい建物になれば、1戸あたりの費用が割安になります。
 資産価値や美観、生活環境を維持保全するためには、定期的に建物診断を行い、メンテナンスしていくことが必要不可欠だと思います。

福田
私は住宅金融公庫の賃貸マンションの融資の研究会に参加していました。30年の長期ローンを貸し出す公庫にとってみれば、長期安定経営は死活問題でした。老朽化した後に空室率が上がるは、家賃は下がるは、修繕費の負担が重くなるなど経営に苦しむ事例が紹介されていました。
適切な長期修繕計画書を提出することを義務化させようとしましたが、そこまで修繕費がかかるのかと分かると計画を止めてしまうオーナーさんもいるので、中々徹底させることはできませんでした。


里奈
4.日々のメンテナンス項目はどんなものがあるでしょうか?その中で法令によって定められているものはどのような項目でしょうか?

栗秋
日常清掃
定期清掃
特別清掃
給排水設備点検(増圧ポンプの場合は逆止弁の清掃が条例で定められています
貯水槽清掃(水槽法施行規則)
簡易専用水道検査(水道法)
水質検査(水道法)
雑排水管清掃
浄化槽(浄化槽法)
電気設備点検
自家用電気設備保守(電気事業法 施行規則)
消防設備点検(消防法)
建築設備定期検査(建築基準法)
特殊建築物等定期調査(建築基準法)
昇降機保守点検(建築基準法)
警備業務
植栽管理

里奈
5.管理会社を決定するうえで抑えておくべきポイントを教えてください。

栗秋
管理会社を区分けすると、4とおりあると思います。

 1.不動産管理会社
 2.ビルメンテナンス会社
 3.分譲マンション管理会社
 4.オーナー様が直接設備業者に発注する

 マンションオーナー様の知識や経験、管理にかけられる時間(業務量)に応じて選定するのがベターですが、選定のポイントとして、押さえておくことがひとつあります。
 すべて請け負い契約なので、基本的には契約以外の業務は行われません。しかし、分譲マンションの管理会社ですと、通常、管理組合様との委任契約で管理を受託しているため、オーナー様に代わってできることに対処するというノウハウがあります。
 このため、よりコンサル会社に近い管財の視点での対応が可能になります。
 ただし、管理業務主任者・マンション管理士・区分所有管理士・宅建主任者等の有資格者の知識や経験によるところが大きいものですから、これらの人材を十分に配置した、信頼できる会社を選ぶことが重要だと思われます。

福田
実は管理会社もゼネコンと同じく、元請け・下請け・孫請けといった階層構造になっているんですよ。冠だけ乗っけて書類を回すだけの仕事をされている管理会社が多いので余分な経費がドンドン乗ってきます。このあたりをチェックし良心的な管理会社にお任せしましょう。


まとめ

1. 建物管理は法で定められた最低限の管理と建物の価値を維持し長持ちさせるための管理があります。建物の価値を維持することが経営の効率を高めるということを知っておいてください。

2. そのためには長期修繕計画とその実施が重要になってきます。建物は減価償却されていくので償却費用が認められているのですが、実際に建物の老朽化も進んでいるのです。修繕積立金という概念を持ってプールしておきましょう。

3. 管理会社の良し悪しによって、経営効率が変わります。その理由はコストとアドバイスの違いです。コストは会社によって大きく変わるのでリプレイス(見直し、置き換える)
ということも検討に入れてみましょう。