プロから学ぶ不動産活用8
通常相続対策は相続評価の低い資産に組み替えていくことが基本であるが、むしろ評価を高めることによる対策が有効なこともある。
典型的な例が物納戦略である。そもそも相続対策とはあきらめる土地(相続によって売却や物納する土地)の面積を減らすことでもある。
たとえば路線価が三.三平方メートル(坪)当たり百万円の土地を三千三百平方メートル(千坪)所有する地主さんの場合、土地の相続税評価額が十億円、相続税が一次、二次併せ四億円の税金が必要となるケースでは、四億円の評価分すなわち4百坪分だけ物納することになる。この4百坪分の土地について評価を上れば物納する土地の面積は少なくてすむ。
ではどのように評価を上げるのであろうか?節税のときに使うテクニックの逆を行うのである。 すなわち土地は利用単位ごとに評価されるという基準を利用し、たとえば路線価の高い部分に面する土地の面積を大きくしておくのである。
ここで注意すべき点は公図上だけの分合筆だけではなく、現地が実際の利用単位に分けられていることである。物納用地の選択も重要である。セットバックや都市計画道路地、変形地などの評価減のある敷地を避け、なるべく整形なさら地を選択する。
最も有利な選択は傾斜地や騒音・異臭や墓地の隣地、排水が取れない土地などハンデのある土地を物納用地とすることである。これらの土地は市場価値が低いものの、相続税評価ではそこら辺りはあまり勘案されないので、国が一番高く評価してくれる。
市街化区域内農地をそのまま物納するのも良い。通常農地などの場合、相続税評価は宅地並みにもかかわらず、市場価値はインフラ整備(道路、電気、ガス、水道、ゴミ捨て場、公園、CATV等の設置)コストを差し引いて見積もる必要があるので、農地の時価は宅地の半値にもならないケースが多い。それを国は宅地の価格で引き取ってくれるのだ。物納が前提の農地は境界を明確にする他は「何もしない」が正解と言えよう。

