プロから学ぶ不動産活用4
賃貸住宅による税金対策として代表的なものは、相続税と固定資産税および所得税である。
相続税の節税については前々回で紹介した通り建物の評価が固定資産評価となるため大きな節税効果があり、固定資産税についても土地の課税標準が六分の一になるなど節税効果は明確である。ただし所得税については残念ながら節税効果がないと断言したほうが良いだろう。
ところがアパート経営の解説書を見ると「減価償却において定率法を選択すれば、所得が赤字となり他の所得と合算し損益通算すれば節税することができます」と記載されていることがある。そもそも定率法が選択できるのは設備部分だけだから、全体の30%程度しか寄与しない。しかも定率法は単に償却を前倒しにしただけでそのツケは後ほど回ってくる。借り入れが減少し経費が少なくなってくるころにそのツケが回ってくるので性質が悪い。
なかには割増償却を推奨する人もいるが、償却額が割増になるのではなく、償却をさらに前倒しにするだけであるから、将来もっと苦しくなる。「そのときまた建築すれば良いのでは」と簡単に言う人もいるが、ハムスターのようなエンドレスのレースをするわけにはいかない。全額借金によるアパート経営の三十年間の収支計画表を良く見てみよう。
支出である借入金の返済合計と経費である減価償却プラス支払い利息の合計がほぼイコールになっていることがわかる。支出より経費の方が多い場合に限り節税になるのであるが、イコールであるため節税にならない。あえて言えば無借金アパートがいい。返済もなければ利息の経費化もできないが、減価償却分だけ支出より経費が多くなる。
青色申告だとか、小規模企業共済制度の利用だとか、細かいテクニックはあるが資産設計の立場から見れば些細なことにすぎない。やはり、所得については収益を上げることに注力し、支払うべきものは支払い、キャッシュフローを高めることに専念したい。

