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プロから学ぶ「不動産投資術」 38

 首都圏のデータであるが、入居者募集中の居住系物件数は年々増加し、10年前と比較すると約10倍となっている。テナント募集中のオフィス物件数も同じく増加し、10年前との比較では約5倍となっている。
 供給が止まらず、必然的に空室が増加し賃料の下落が進む。不動産投資需要の高まりでアパート建築が活発で、都心の投資用マンションも依然、供給が止まらない。低金利が続き、若年者が賃貸から脱出してマイホームを取得する。そのマイホーム取得者が、さらに都心のワンルームマンションを購入したりしている。
 不動産は国内オンリーのマーケットだから、製造業のように輸出ができない。したがって、供給が増えれば、自動的に過剰感がでてくる。建物は意外に長持ちするもので、滅失するものは少なく減らないので増える一方である。
 その結果、空室率は全国で現状12%を越えた。空室率の推移は10年前で10%、20年前で8%、30年前で5%程度であり、年々増加している。この空室率には地域差があり、最も低い県で7%、最も高い県で19%である。東京の都心や大阪などで空室率が以外に高いことはあまり知られていない。需要の動きはあまりないが、供給の動きは激しいので供給の多い地区の空室率が高いということである。
 人口が減少し始める日本では、需要の増加が期待できないので、供給状況により着目しなければならない。
 私は空室率の12%は決して高い数値とは思わない。新陳代謝が進むためには、この程度の空室率はむしろ必要と言える。今まで、競争しなくても良かった分野に、やっと差別化という発想が生まれてきたといってもよい。飲食店のテナントなどはコロコロ変わり、生き残るのが大変だなあとつくづく思うが、こと賃貸経営で潰れるということなどバブル期の利回りを無視した投資を除き、ほとんどありえない。
 今後も引き続き、空室率は増えていくことは間違いないが、競争が激しくなることによって、質が高まっていくというマクロのメリットもある。価格、立地、広さ、設備の差別化が更に進み、賃貸市場の厚みが増すであろう。