プロから学ぶ「不動産投資術」 30
収益不動産の取引の主役が法人や個人から、私募ファンドやリートに移行している。
従来3億円程度の小規模物件には、触手を示さなかったファンドが品不足を理由に手間のかかる小規模物件を数集めてファンドを組成するようになった。買主が法人や個人ではなくファンドである場合、基本的な仲介の役割は変わらないが、エンジニアレポート用の書類の提供が必要となる。
エンジニアレポートには、建築確認申請図書、検査済書、竣工図、修繕履歴、法定点検報告書などの書類が欠かせない。極端に言えば、検査済書を紛失しただけで、エンジニアレポートの作成ができないので取引ができなくなることもある。
このレポートはレンダーからノンリコースローンを付ける際にも必要であり、不動産鑑定評価にも利用されている。
これらエンジニアリングレポートに必用な書類が揃うかどうかで、ファンドの購入の意思決定を左右するため、単なる書類だと侮ってはいけない。検査済書がないために、ファンドが購入しないとなると、物件の価値が大幅に下落することになる。なぜなら、今やファンドが最も高く購入してくれるお客様だからである。
エンジニアレポートと同じく、もう一つのハードルとして地質環境レポートがある。いわゆる土壌汚染調査である。マンションディベローッパーも今やこの土壌汚染調査に敏感であるが、機関投資家も全く同じ状況だ。
過去の物件の履歴を追い、謄本上や過去の地図上で、工場であった報告がなされるとその時点で購入の対象から外されることもしばしばである。実際の土壌のサンプル調査をするまでもなく、拒否されてしまう。
自ら正式な土壌汚染調査を自費で行い、土壌汚染の疑いを晴らすという提案をしたところで、時間がかかるため購入を拒否されてしまう。というのはファンドの組成にはタイミングがあり、同時期に複数の物件を組成するので時期がずれるとまずいからである。
それではということで、次のファンド向けの物件として、土壌汚染の停止条件付で取りまとめ依頼書の予約を交わし、売主が自ら土壌汚染の正式な調査を行い、疑いを晴らすことにしたケースもある。

