プロから学ぶ不動産活用

第24回 戸建て賃家の登場 ~分割、納税、節税の複合効果~

千葉県市川市の北総公団線「北国分駅」周辺は、10年程前に駅がオープンして以来、区画整理事業が進められてきた。葛飾区と江戸川を挟んだだけで、都心から15Km程の至近距離でもあるため、新しいベッドタウンとして注目され、駅周辺はアパートや賃貸マンションが立ち並んでいる。
 この地で4代にわたって農業を続けられてきた地主さんは、相続対策も含めて土地活用の検討をされてきたが、得られた結論の1つが戸建て貸家だ。周囲には区画整理で生じた同じような宅地に、同じようなアパートがひしめいて、過当競争が始まっていたからである。
 1軒あたりの敷地を45坪とゆとりを持たせて、2台の駐車場が取れる上に、ガーデンスペースもたっぷりある。これなら、入居者はペットを飼ったりガーデニングをしたり、ホームパーティーも開くことができる。ありきたりのアパートでは飽き足らない入居者のニーズを満たすだろうという市場分析が的中し、今でも入居待ちがでるほど高い人気を誇っている。
 表面利回りは10%、定期借地権で得た保証金で建設しているので、借入はなく実質利回りは8%確保されている。この戸建て貸家は相続対策にピッタリである。まず分割が簡単である、相続人ごとに1軒づつ分けることができる。次に納税のために高く売ることができる。
 賃貸マンションであれば、売ろうと思っても売却先は投資家に限られるので収益還元価格となってしまう。利回り10%を期待する投資家が買主だとすれば土地価格分が丸々消えてしまう。
 これが戸建て貸家ならば、分譲として売却できるので、土地価格+建物価格が売買価格となるためロスがない。最後に節税だが、土地の利用単位ごとに評価することができるので、路線価の低い土地に面するよう配置したり、画地補正により評価を下げることができる。相続の3大ポイントである、「分割」「納税」「節税」がすべて丸く収まっている。差別化が求められる時代にあって、益々増えてきそうだ。