プロから学ぶ不動産活用
第19回 「小規模宅地制度」の利用法 ~資産組み換えで効果発揮~
小規模宅地の場合、固定資産税・都市計画税と相続税を下げることができる。農地に賃貸住宅を建設すれば、固定資産税の課税標準が6分の1、都市計画税の課税標準が3分の1になる。しかも戸数が増えれば増える程、その恩恵を受ける土地の範囲は比例して広くなる。
相続税については評価が50%減になるものの、不動産貸付業の場合、合計で240平方メートルまでのみが対象である。したがって、3,300平方メートル(1,000坪)を保有する郊外の大地主さんにとっては焼け石に水。概算で相続税を算出する場合誤差程度だから、私は計算にも入れていない。
ところが、最近無視するということができない状況が生まれてきた。都心への資産の組替えが注目されているからである。先ほどの3300平方メートルの場合、路線価が坪30万円では3億円の相続税評価であるが、この土地を事業用資産の買い替え特例を活用し、都心の土地70坪を1.8億で購入し、1.2億の賃貸マンションを建設した場合は次のようになる。
土地の評価が小規模宅地の評価減で9000万円、さらに貸家建て付け地なので約20%下がり7200万円になる。建物は固定資産税評価が相続税評価になるのでおおよそ半額の6000万円、さらに借家権が付き30%下がり4200万円となる。土地建物の合計が1億1400万円だから、3億の評価から見れば62%下げることができる。
子供が二人の場合、一次・二次相続の合計が2000万円以下なので現金納付も射程距離に入る。小規模宅地の評価減をフル活用した成果だ。
賃貸マンションの表面利回りが15%とすれば、年間1,800万円の売上となる。経費率を25%見たとしても1,350万円の税引き前収入が実現する。郊外にオール借金の賃貸住宅を建設しても経費倒れの心配や、物納用地を食いつぶす相続破産の心配がある地主さんは資産の組替えを検討して見よう。不動産市況の流れに加え、税制も都心部や中心部への移行を後押ししている。