プロから学ぶ不動産活用12
相続税より贈与税の方が重いと思っている地主さんが以外に多い。確かに同じ1億円においても贈与税率は七十%で、相続税率が四十%だから表面的な税率だけでみれば正しい。実態を表わす実行税率で見た場合では、贈与税率五十九%、相続税率一%(子供二人、配偶者有)となおその差は広がる。ところが、贈与は相続対策の基本と言われている。それは、贈与は相続と違って「何回でもできる」という特色があるからだ。毎年少しずつ、できるだけ多くの人に贈与すると、かなりの節税になる。
たとえば、資産十億円で子供二人、配偶者有りの場合、相続税額が一億八千二十万円になる。お孫さん一人を養子にして、贈与の対象者を増やす。実は養子縁組しただけでも、相続税は一億六千七百十万円まで下がる。次に毎年二百万円づつを子供二人と孫一人に、十年間毎年贈与する。合計六千万円の贈与だ。相続税は一億五千二百十万円に下がる。贈与税が四百二十万円必要となるが、その分を差し引いたとしても、何もしないときと比べ二百三十九万円の節税となる。なお、相続開始前三年以内に贈与したものは、相続財産として相続税の課税対象となるので、できるだけ早い段階から実行すべきである。この場合、すでに納めた贈与税は相続税から控除できる。
ではどのくらいの贈与が良いかといえば、所有する財産の額により異なるので一概には言えないが、将来の相続税評価の下落や貨幣価値の下落を勘案すれば目安として相続税率の半分程度の贈与税率にしておくのが無難である。なお節税だけでなく、納税資金を相続人に移転することにもなる。有効活用などの相続対策と比べ節税額が小さく、収益も生まないが、なんと言っても手軽でリスクがないことが嬉しい。土地などをそのまま贈与する場合には分筆費用や登記費用がばかにならないので、経費倒れになることもある。最も望ましいのは、有効活用で生まれた収益から現金で贈与を行うことである。

